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自己免疫疾患って何?と病院内大泣き事件

入院2日目に「自己免疫疾患」と言われたのですが、そもそも「自己免疫疾患」とはどういう病気なのでしょうか。

 

異物を認識し排除するための役割を持つ免疫系が、自分自身の正常な細胞や組織に対してまで過剰に反応し攻撃を加えてしまうことで症状を起こす、免疫寛容の破綻による疾患の総称。

Wikipediより引用。

 

またまた簡単に要約すると、普通は外から入ってくる異物に対してだけ反応する免疫が、なぜか自分の体の中にある自分の仲間にさえ攻撃を始めてしまう。

 

免疫の症状で一番身近なものは、花粉症のようなアレルギーではないでしょうか?

体の外から異物が入ってくると、ここで活躍してくれるのが免疫。

体に入ってくる敵物質に対し、その物質を体外に出そうと免疫が立ち上がります。

その時にその敵物質と戦えるよう「抗体」という物質を体内に作り迎え撃つわけですが、この抗体がある量を超えると敵物質とケミストリーが起こってしまい、体内に違う物質を作ってしまう。これがアレルギー症状になるわけです。

 

自己免疫疾患とは、この門番「免疫」に何かしらの誤作動が起き、自分の仲間である正常な組織や細胞を攻撃し始める…。

「喧嘩はやめて~。仲間じゃない!」と体内に叫びたいですね。

 

自己免疫疾患になる理由としては、女性が多いということもあり「ホルモンが関係している」という説があります。

妊娠中には体内に自分以外の生命を宿すわけですが、その時に微量な普通ならば気にすることなど全くないくらいの量の細胞のやり取りがあり、それが産後十数年経った後に「お、私の体の中に何か自分のものでないものがいるわ」と大騒ぎになり免疫が「それはいけない」とドタバタを始めてしまうという説。

 

親から受け継ぐ遺伝などの原因でEBウイルスというのに感染してしまった細胞を敵とみなしてしまう説。

 

いろいろな諸説はあるようですが、「これ!」という原因がわかっていないというのが現状のようです。

 

さてさて、入院2日目に「自己免疫疾患」と言われたと書きましたが、血液検査でも採血後すぐわかるものもあれば、結果が出るまで1週間ちかくかかるものもあるようです。

1日目に出た血液検査の結果で、間質性肺炎の原因は「免疫疾患」。「自己」がまだ入っていないんです。

皆さん、免疫疾患で思い浮かぶ病名ってありますか?

 

ホームドクターが旦那さんと娘に連絡を取ってくれて、夕方になると二人が病院までやってきました。

その時の私の様子は、まるで手品なのですが自分の洋服から病院着に変えられていて、左手には点滴、右手には血圧と脈を測る機械。指には酸素濃度を測る機械が付いていて、顔には酸素吸入器、胸には心電図が付けられていました。すでに立派なサイボーグ状態。

家族はその様子を見て一瞬固まっていましたが、私は家族の顔を見てホッとしたのもつかの間。

一人のドクターが家族に向かって、「すみません、奥さんとちょっと話をしなくてはいけません。席を外してくれますか?」って。もう、それだけでも「なにぃぃ!!今来たばかりなんだから、追い出さないで」と思ったのですが、話の内容は予想外のもの。

 

Doctor「Nozomiさんの病気は間質性肺炎というものです。そして原因は免疫疾患です。免疫が肺を攻撃して、今肺の半分以上は機能していません。さて、これは大事なことなのですが、旦那さん以外と関係を持たれましたか?」

Nozomi「おっしゃっている意味が分からないのですけれど…。」

D「旦那様には決して私たちからは言いません。でも治療の上で重要なことなのです。ここ数年の間に旦那様以外と性交渉は持たれましたか?」

N「えっと、何がおっしゃりたいのでしょうか?」

D「HIVという病気はご存知ですか?」

N「エイズと関係している病気ですね?」

D「そうです。そしてHIVになる原因として性交渉があるのもご存知ですか?」

N「もちろん知っていますが、それと私とどんな関係があるのでしょう。思い当たる節がありません。」

D「わかりました。確認だったので、ではご家族に入ってもらいますね。」

 

そのあと、家族が来て入院の手続きなどを話し、あとちょっと雑談をした後家族は帰っていき、しばし私は看護婦さん二人と部屋に残ることになりました。

 

その間も、私の頭の中では先ほどのドクターとの会話がエンドレスでぐるぐる。家族がハグしてくれてもハグをし返すこともできませんでした。

本当に思い当たる節がない私。でもHIVならばどこからか感染しているはず。頭の記憶引き出しを片っ端から開けありえそうな状況を探します。

そうしたら、見つけました。HIVとは何も性交渉だけで移るわけではないんです。針の使いまわし。

これもHIVに感染するっていうではないですか。

 

私が入院8年前くらいまで行っていた歯医者さん。彼、最後はアルコール中毒になり、予約はすっぽかす、予約時間に「おなかすいたからちょっとご飯食べて来るね」と患者を置いてレストランに行ったり、雇っていた助手や受付の方を解雇する、怒ってトイレの洗面台を壊す。現金で支払ってくれたら安くするよ(通常スイスは現金払いをすることがないんです)とか言い出す始末。

最後彼に歯根治療をしてもらったんだった…。きっとあれが使いまわしの針だったんだ。あの先生最後の方クレイジーだったし…。あの時だ、まさにあの時移っちゃったんだ。だって他に全く心当たりがないもん。

それを知らず、私もしかしたら、家族に移していたのかもしれない。クライアントさんにも移していたらどうしよ。

あああああ、どうしよう。

 

そう思ったら、どうしても涙が止まらず、大人気もなく「エーンエーン」と大声を出して泣き始めてしまいました。

 

びっくりしたのは同室にいた看護婦さんたち。

「どうしたの?」とか聞いてくださるんだけれど、答える余裕なし。

「大丈夫よ。私たち、ちゃんとあなたを助けるからね」と腕をさすってくれたり、ハグしてくれたりするのだけれど

「もう私に触らないで。あなたたちにも移っちゃうわ」と避けるばかり(はい、HIVはハグでは移りません、ハハ)。

泣き声を聞きつけた先ほどのドクター戻ってきて、「歯医者に移されたー。知らなかったから、家族にもクライアントさんにも移してしまったー。」とわんわん泣きながら訴える私の話を根気強く聞いてくださりました。

「大丈夫ですよ。それでは移りません。だったらきっとあなたはHIVではないですよ。ご家族も大丈夫。クライアントさんは100%大丈夫です。今日は病室に移ってゆっくりして安心くださいね」と。

「だったらって…。だって、先生が言ったんじゃん。安心なんてできるもんかぁぁ。えーん、えーん」という感じ(苦笑)。

 

全く思いもしなかった自分の中での最悪なシナリオを聞かされ、全身サイボーグで普通ではない状況。頭の中では「Nozomi、歯医者さんにやっつけられる劇場」が繰り広げられていて、もう誰にもNozomiは止められない。自分自身でも止めることができない。最終的には点滴にちょっと精神安定剤的なのを投入されて、看護婦さんに腕をさすられながら眠ったのでした。

 

でも翌日になったら、「病理学でそう言えば習った~。HIVって免疫疾患の代表格的病気。そうよね、まず疑われるよね。」とか、「歯医者の治療で移るって…。そんなことほとんどあり得ないよね。ドラマか!」とか「クライアントさんにって…。マッサージでは移らないっていうの!」とかとか落ち着きを取り戻したら、なんか今度はおかしくって。

 

その後ドクターも来て、「検査の結果HIVネガティブ。自己免疫疾患です。」と免疫疾患の前に自己が付きました。

結局それで何か大きく変わるかと言えばよくわからないけれど、これで家族やクライアントさんに移していないことは確実。

ホッとしたのなんのって。大泣きしたことが恥ずかしくなりました(汗)。

 

だけどだけど。ドクターも何もあの時点で言わなくってもね~。

そんなにすぐ結果が出るなら、数日待ってくれてもいいのに。とちょっと、ぷんぷんと思ったのも事実です。

今はもう笑い話ですけど(笑)。

 

入院3日目、違う担当のドクターが病室に来て「Nozomiさんは、膠原病です。」とおっしゃる。

え?なんかまた病名が増えた?1日1つ病名が増える。

 

次回は膠原病って名前は聞くけど…と旦那様脳内ショート寸前。をお届けしたいと思います。

 

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