今を生きるとは?

今を生きる

今この瞬間を生きることが大事って言われるけど

何故?

 

 

 

 

もうかなり前のことですが、

認知症にかかった方についての話をお伺いする機会がありました。

そのご婦人は、すっかり高校生の頃に心は戻られて、

旦那様に恋い焦がれる娘っ子に戻られていたそうです。

毎日、とてもかわいらしく髪の毛をおさげに結い、

とてもうれしそうに、学校のこと、恋愛のこと、いろんなことを話されたそう。

「こんなに幸せそうな母は見たことがない。」と娘さんもおっしゃるくらいに

幸せそうだったそうです。

 

ん?ん?んんん?

なんか、これはこれで幸せそうじゃない?って思っちゃった私がいたのですよね。

でも、このご婦人、だれがみても

「今この瞬間を生きている」ってなると、

絶対違うとなりますよねぇ。

 

今この瞬間を生きていないから辛くなる。

過去にしがみついたり、未来を心配しているから苦しくなる。

だから今に戻ってきましょうっていう話のはずなのだけれど。

 

 

 

話は変わり、先日ドイツの番組を見ていました。

カテゴリーは何だろう。リアリティーショーになるのかな?

そこに80年代に売れっ子だった、セクシー系女優の方が出ていました。

80年代と言えば、私はまだ、日本でうぶな生徒(笑)だったので

その方のことは全く存じ上げませんでしたが、

昔のVTRをみたり、彼女の話を聞いていると、

バブルのど真ん中、お国は違えども、

ディスコのお立ち台で踊るバブリーなお姉さま方を彷彿させるような

そういう生活を送っていらっしゃったようです。

 

その元女優さん(もし、今も女優をされているのなら申し訳ない)

番組の中ですぐ怒るし、すぐ泣くんです。

「あの頃はよかった。今の私には何にもない」って。

番組の編集の仕方というのもあるのでしょうが、

まだ、80年代に生きている。

80年代の彼女の中の良き時代にしがみついている感満載でした。

 

上の認知症のご婦人も、

下の80年代女優さんも

同じように過去の世界に生きているのに、

どうしてこうも違うのでしょう。

片やとても幸せそうで、片やとても不幸せそう。ご本人もそう言っていたし。

 

もちろん、認知症を患われて、幸せだけ?

と言ったらそんなことはないとは思います。

が、ここではそこはちょっと置いておいて話を進ませてくださいね。

 

このお二人の一番の違いってなんだと思いますか?

 

私は

「比較」だと思うんです。

 

上のご婦人は、確かに今この瞬間に生きていないかもしれない。

だけれど、今と過去の自分を比較して生きているのではなく、

過去のその瞬間を十分に味わっていらっしゃる。

 

下の女優さんは、常に、80年代の

美しく、みんなに求められ、金銭的にも恵まれ、

夜な夜なパーティー(もされていたという)をと楽しいこともたくさんあり、

恐れなど何もない!くらいの状況だった自分と、

 

今の、若さもない、仕事もほとんどない

(みんなに求められない&金銭的にも厳しい)

人との付き合いもお金もないので、パーティーどころか普段の食も質が落ち、

これからのことを考えると、ただただ不安でしかない。

 

80年代と言えばかれこれ30~40年前です。

そのころの自分を今の自分と比較して

あれがない、これがない、あの頃はよかった、と怒って涙をし、

そして、今の自分とこれから来るだろう自分予想し、比較して

もっと年老い若さがなくなる、今でさえつらい自分がこれからはもっとつらくなると

不安で涙をしていらっしゃったわけです。

 

しかしながら、

今この瞬間に戻ってくるって、意外と難しくないですか?

どなたかトライされたことありますか?

 

巷では、メディテーションやら呼吸法やら

いろいろ方法を言われているようですが、

メディテーションうまくいく時もあれば、

最中に

「夕飯は何を作ろう。あれ?あれ買ってきたっけ?って、おーい、そんなこと考えちゃいけないんだ。ああ、呼吸だ、呼吸。吸って―吐いて―、吸って―、吐いて―。なんてしているうちに子供が帰ってくる時間じゃなかった?あ、OOさんに300円返さなくっちゃ。忘れないうちにメモっておこうって、今メディテーションの最中だ。イケないイケない、集中だ!あ、呼吸をカウントすればいいってどこかで読んだ。1,2,3,あ、今電話なったよね、え?なってない?って私なにまで数えたっけ?3?4?あああ、わからないから初めから、1,2,3・・・・・ってこんなんで私今生きているっていうのかな?修行が足りん、私」

 

と、なる時もありませんか?

 

とりあえず、

今の自分を生きるとは、

過去の自分との比較をやめ、

まだ来ぬ自分を勝手に予測して比較するのをやめて

今の自分を体感するってことなのでしょうね。

 

この女優さん、毎日お仕事があるわけではないのかもしれない。

それでもスクリーンの中にいる彼女を私が見たということは

お仕事をいただいたということですよね?

誰かに必要とされたということで、もちろんお金も入ってくるはずです。

80年代の時のセクシーな体系ではないかもしれないけれど、

ほかの魅力が沢山ある方なんだと思います。

 

その瞬間だけを見たら、彼女は沢山の人に囲まれて、

きれいにお化粧もして、彼女が望む、本来の彼女のはずなのだもの。

 

比較って、どんな場合も苦しくなること結構多いですよね。

他人と比べても、自分自身と比べても。